クリニックの売上アップ方法|患者数・来院頻度・単価で原因を絞る経営改善の手順

クリニックの売上アップ方法の解説記事のアイキャッチ。売上を患者数・来院頻度・診療単価に分解し、落ちた変数から打ち手を選ぶ手順と、改定頼みにしない考え方を示す図解

クリニックの売上アップとは、売上を患者数・来院頻度・診療単価に分けて落ちている変数を特定し、算定と届出の確認、必要な受診が途切れない仕組みづくり、受け入れ枠と予約の見直しなどから原因に合う打ち手を選ぶ取り組みです。過剰な受診誘導や費用を強調した広告は、売上アップ策として採りません。

「診療報酬は上がったと聞いたのに、手元の売上は前年より伸びていない。何から手を付ければいいのか分からない」

改定の年になると、私のもとに届くこのご相談が目に見えて増えます。

売上は1つの数字に見えますが、中身は患者数・来院頻度・診療単価の掛け算です。どの変数が落ちたかを見ないまま「集客を増やす」「自由診療を入れる」と打ち手を足すと、原因と合わない投資になりやすくなります。

本記事では、売上の分解、変数別の打ち手、診断の手順、医療経済実態調査と令和8年度診療報酬改定から見た現在地、避けるべき売上アップ策を、一次資料にもとづいて順に整理します。

高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

改定率がプラスと報じられると、売上も自然に戻ると期待したくなるお気持ちはよく分かります。ただ私の支援経験では、売上の動きを分解すると、点数の変化より、通院が途切れた患者さんの数や届出の漏れのほうが響いていた、ということがよくあります。本記事では、施策の一覧より先に「どの数字を見るか」をお伝えします。

この記事のサマリー

  • クリニックの売上アップは、売上を「患者数×来院頻度×診療単価」に分け、患者数をさらに新患と継続患者に分けて、落ちている変数を特定することから始まります
  • 打ち手は、単価(算定と届出の確認)、来院頻度(必要な受診が途切れない仕組み)、患者数(受け入れ枠と予約・電話の入口)、診療メニュー(関連診療の案内と自由診療の順序)の4領域に整理できます
  • 売上が伸びないときは、保険・自由診療を分けた月次売上を分解し、新患と継続患者、算定の中身、外部・院内要因の順に確認すると、着手する領域を絞り込めます
  • 第25回医療経済実態調査では、医療法人の一般診療所の損益率(平均値)が令和5年度8.3%から令和6年度4.8%に下がりました。令和8年度改定の+3.09%も賃上げ分+1.70%と物価対応分+0.76%が中心で、改定だけで売上が戻るとは限りません
  • 必要性の乏しい検査や投薬、売上目的の受診間隔の短縮、経済上の利益による受診の誘引、費用を強調した広告は、療養担当規則や医療広告ガイドラインに反するおそれがあるため、売上アップ策として採りません

クリニックの売上アップとは

クリニックの売上アップとは、月の売上を患者数・来院頻度・診療単価の掛け算として捉え、どの変数が伸び悩んでいるかを確かめたうえで、その変数に合う打ち手を選ぶ取り組みです。施策の数を増やすことと同じ意味ではありません。

売上を3つの変数に分ける

月の売上は、次の2つの式に分けると、どこが動いたのかを確かめやすくなります。

  • 式1:月の売上 = 実患者数 × 1人あたり来院回数(来院頻度)× 1回あたりの診療単価
  • 式2:実患者数 = 新患 + 継続患者(前月までに受診した患者さんのうち、今月も受診した人)

拙著では、売上を患者単価・来院頻度・リピート率の掛け算と整理しています。式1・式2は、それを月次の数字で確かめられる形に置き換えたものです。この分解を通院の全期間に伸ばしたものが患者LTVで、考え方はクリニックの患者LTVとは|計算式と運用方法を売上設計の中核指標として解説で扱っています。

一般業種の売上アップと異なる3つの前提

  1. 保険診療の単価は診療報酬の点数で決まる:自院では値付けできず、改定のたびに点数や算定要件が変わります
  2. 受診の要否と間隔は医師が判断する:検査や投薬、次回受診の間隔は医学的な必要性で決まり、売上のために動かす変数ではありません
  3. 値引きや広告表現に制約がある:保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下、療養担当規則)と医療広告ガイドラインが、経済上の利益による誘引や費用を強調した広告などを制限しています

このため売上アップの軸は、受診を増やすことではなく、必要な医療を必要な患者さんに届け、受け入れの取りこぼしと通院の中断を減らし、行った医療を正しく請求することです。

クリニックの売上は患者数・来院頻度・単価の掛け算で決まり、保険診療の単価と受診の必要性を自院で自由に動かせない点が、一般業種との違いです。

クリニックの売上アップの方法

クリニックの売上アップの方法は、診療単価・来院頻度・患者数・診療メニューの4領域に整理できます。どの領域から着手するかは、売上を分解して落ちている変数を特定してから決め、算定や受診の頻度は要件と医学的な必要性の範囲で扱います。

  • 診療単価:算定と届出の取りこぼしを確認する
  • 来院頻度:必要な受診が途切れない仕組みを作る
  • 患者数:受け入れ枠と予約・電話の入口を整える
  • 診療メニュー:関連診療の案内と自由診療の順序を考える

単価:算定と届出の取りこぼしを確認する

単価の見直しは、要件を満たす医療を行っているのに、算定や施設基準の届出をしていない項目がないかを確かめる作業です。目的は算定を増やすことではなく、行った医療を正しく請求することです。令和8年度改定では要件が厳しくなった項目もあるため、両方向で確認します。

令和8年度改定で、名称・要件を確認したい主な項目

項目 見直しの方向 院内で確認すること
物価対応料 初・再診時等に算定できる評価を新設
令和9年度に評価を引き上げる設計
レセコンの対応
電子的診療情報連携体制整備加算 医療DX推進体制整備加算と
医療情報取得加算を見直して新設
旧加算の届出のままでないか
時間外対応体制加算 時間外対応加算から名称変更、評価を引き上げ 届出区分と実際の体制
機能強化加算 業務継続計画(BCP)の策定を要件化 BCPの策定・見直し
生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ) 包括範囲の見直し、糖尿病患者の眼科・歯科連携の評価を新設
(Ⅰ)は血液検査等を原則6月に1回以上
管理内容と記録
特定疾患療養管理料など 長期処方・リフィル対応の院内掲示を要件化
特定疾患療養管理料は対象疾患を見直し
掲示の有無と対象患者
外来・在宅ベースアップ評価料 対象職員を広げて評価を見直し 届出と賃金改善計画

点数は記載していません。算定の可否は、最新の告示・通知と疑義解釈で確認し、医事担当者や顧問の専門家と判断してください。(出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」p.21〜22・p.73・p.79・p.81、同「7.外来医療の機能分化・強化等」、同「1.賃上げ・物価対応(賃上げ)」/取得日:2026年10月10日)

高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

正直にお伝えすると、算定と届出の見直しは地味ですが、患者さんの受診行動を変えずに単価を適正化できる数少ない打ち手です。一方で、要件の解釈を誤って算定すると、後から返還を求められることがあります。表は、算定を増やすためではなく、要件を満たしているかを確かめる目的で使ってください。

来院頻度:必要な受診が途切れない仕組みを作る

来院頻度を上げるとは、受診間隔を詰めることではなく、定期的な受診が必要な患者さんの通院が途切れないようにすることです。打ち手は、医師が判断した次回受診の目安を担当者によらず同じように伝える、予約を取りやすくする、一定期間来院のない定期受診患者(中断)を把握して連絡する、の3つです。

中断は、たとえば「前回の処方日数や次回予約日から、猶予期間を過ぎても来院がない定期受診患者」と定義し、猶予期間は診療科や疾患に合わせて決めます。中断への連絡は、治療の継続という患者さん自身の利益にもつながります。

令和8年度改定では、特定疾患療養管理料などの要件に、患者さんの状態に応じて28日以上の長期投薬やリフィル処方箋の交付に対応できることを院内に掲示する旨が加わりました(出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」p.79/取得日:2026年10月10日)。来院頻度は、受診回数を増やすのではなく、状態に合った間隔で途切れないように設計します。院内運用は、クリニックの集客方法|集患施策の全体像と、効果が落ちたときの見直し方で整理しています。

患者数:受け入れ枠と入口を整える

新患を増やす施策の前に、曜日・時間帯ごとの予約枠、電話のつながりやすさ、初診の受付時間を確認します。枠が埋まっている時間帯に集客を足しても、売上は伸びにくいままです。空いている時間帯や、電話がつながらずに取りこぼしている問い合わせがあれば、そこが改善の余地になります。電話や受付の業務を書き出して見直す手順は、クリニックの業務効率化の進め方で解説しています。予約や問診の受付を仕組み化するサービスは、クリニック業務効率化サービスおすすめ5選|DX比較で人の判断時間を増やすで比較しています。

診療メニュー:関連診療の案内と自由診療の順序

関連診療の案内とは、自院で対応できるのに伝わっていない栄養指導や健診などを、診療の流れの中で知らせることです。拙著では、これを1つの主訴に収まらない健康課題への動線設計と位置づけています。案内するかどうかは医師が患者さんごとに必要性を判断することが前提で、この判断を抜きにした案内は過剰な受診誘導と変わりません。

自由診療は、「入れるかどうか」より「順序」が大切です。拙著では、保険診療だけでは改定の影響を、自由診療だけでは景気変動の影響を正面から受けるため、両者のバランスを診療科ごとに考え、価格の相場が分かりやすい領域から段階的に始めるよう整理しています。制度面は自由診療導入の判断基準と法的枠組み|混合診療の枠を理解するで解説しています。

クリニックの売上アップの方法は単価・来院頻度・患者数・診療メニューの4領域で、診断で特定した変数に合う領域から着手し、算定や受診頻度は要件と医学的な必要性の範囲で扱います。

売上が伸びないときの診断手順

クリニックの売上が伸びないときは、打ち手を足す前に、保険診療と自由診療を分けた月次売上を患者数・来院回数・単価に分解し、新患と継続患者、算定の中身、外部要因と院内要因の順に確認すると、落ちている変数を絞り込めます。

  1. 保険診療と自由診療を分けて、月次売上を並べる:直近12〜24か月分を前年同月と比べ、改定のあったの前後でも区切ります
  2. 実患者数・延べ来院数・1回あたり単価に分解する:レセコンや電子カルテの月報で出せる範囲で構いません
  3. 患者数を新患と継続患者に分ける:初診から2回目につながった割合と、中断の数を見ます。新患が減っているなら入口の問題なので、「クリニックの集客方法」の記事の見直し手順に進みます
  4. 単価の変化を算定の中身で確かめる:管理料・加算の算定件数、届出状況、改定で新設・統合された項目、初診と再診の比率を確認します。院内処方の院は、薬価改定(施行、▲0.86%)による薬剤料の変化を分けて見ます(出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」p.3/取得日:2026年10月10日)
  5. 外部要因と院内要因を照合する:近隣の開業・閉院や季節と、診療枠の変更や待ち時間、スタッフの入れ替わりを、売上が動いた時期と照らし合わせます

新患が減っていないのに売上が落ちている場合、原因は継続患者・来院頻度・単価のいずれかにあります。広告費を増やしても、その原因の解消にはつながりません。

売上分解シートの列の例

列 出し方
月/保険・自由の別 1か月1行、保険と自由は行を分ける
実患者数 月に1回以上受診した人数
うち新患 初診の件数
うち継続 実患者数-新患
延べ来院数 月の受診回数の合計
1回あたり単価 売上÷延べ来院数
高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

実際の支援現場では、手順4で単価の内訳を見て初めて、名前が変わった加算の届出が旧区分のまま残っていた、と分かることが少なくありません。分解すると、患者数はほとんど変わっていないこともあります。私見では、手順2と手順4にいちばん時間をかける価値があります。

売上が伸びないときの診断は、保険・自由診療の分離、患者数・来院回数・単価への分解、新患と継続の分離、算定の中身、外部・院内要因の順に進めると、落ちている変数を特定できます。

公的データで見るクリニック売上の現在地

中医協の第25回医療経済実態調査では、医療法人の一般診療所で令和6年度に医業収益が減少し、給与費が増加して損益率が低下しました。令和8年度診療報酬改定の改定率はプラスですが、その大部分は賃上げと物価への対応分です。

医業収益が減り、給与費が増えている

第25回医療経済実態調査では、医療法人の一般診療所の損益率(平均値)が令和5年度の8.3%から令和6年度は4.8%に、中央値は5.6%から2.7%に下がりました(回答1,333施設)。無床診療所(医療法人)では平均値が9.3%から5.4%です。同じく医療法人の一般診療所の増減率は、医業収益▲2.1%、給与費+3.2%、医薬品費+2.5%でした(出典:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査の概要」(版)p.2・p.16/取得日:2026年10月10日)。

これらは新型コロナウイルス関係補助金を含まない数値です。個人立の診療所は院長の報酬に当たる部分が費用に計上されないため、損益率が高く出ます。読み方はクリニックの損益分岐点とは?計算方法・1日の必要患者数と利益率など財務指標の公的データで整理しています。給与費の比率を自院と比べるときの定義のそろえ方はクリニックの人件費率の目安は?院長報酬など数字が違う4つの理由と自院の比べ方で解説しています。収益が減った理由はこの資料では分からないため、自院の原因は自院の分解で確かめます。

改定率のプラスは賃上げと物価への対応が中心

令和8年度診療報酬改定の改定率は+3.09%です(令和8・9年度の2年度平均。令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%。施行)。主な内訳は次のとおりです。

  • 賃上げ分+1.70%:令和8・9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップを実現するための分
  • 物価対応分+0.76%:うち+0.62%を施設類型ごとに配分(病院+0.49%、医科診療所+0.10%など)
  • 効率化▲0.15%:長期処方・リフィル処方の取組強化など

改定率は医療費全体に対する率で、自院の売上の伸び率ではありません。「医科診療所+0.10%」も、物価対応分の配分のうち医科診療所に充てられた分です(出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」p.3、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」/取得日:2026年10月10日)。プラス分の大部分は賃上げと物価高への手当てとして設計されており、自院の売上アップ策の代わりにはなりません。

高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

ここは私見ですが、改定率のプラス分は「売上が増える分」ではなく「スタッフの賃上げと物価高に充てる分」と考えておくほうが、経営判断を誤りにくいと思います。ベースアップ評価料のように、届出をしないと受け取れない評価もあるので、改定項目の表とあわせて確認してください。

医療法人の一般診療所では令和6年度に医業収益が減って給与費が増えており、令和8年度改定のプラス分も賃上げと物価への対応が中心なので、売上は自院の分解と診断から立て直す必要があります。

避けるべき売上アップ策

避けるべき売上アップ策は、必要性の乏しい検査や投薬、売上目的の受診間隔の短縮、患者負担に応じた値引きなどの経済上の利益による受診の誘引、費用を強調した広告や体験談の広告です。短期的に売上が増えても、法令違反のおそれや患者さんの信頼低下につながります。

  • 必要性の乏しい検査・投薬、売上目的の受診間隔の短縮:療養担当規則第20条は、検査は「診療上必要があると認められる場合に行う」、投薬は「必要があると認められる場合に行う」とし、「同一の投薬は、みだりに反覆せず」と定めています
  • 経済上の利益による受診の誘引:療養担当規則第2条の4の2は、患者負担の額に応じた物品の値引きその他の経済上の利益の提供による受診の誘引を禁じています
  • 費用を強調した広告、医療と直接関係のない景品:医療広告ガイドラインは、「期間限定で○○療法を50%オフ」のような費用を強調した広告や、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」のような誘引を、行うべきではないとしています
  • 体験談や、誤認させる治療前後写真の広告:治療の内容や効果に関する体験談の広告は認められず、誤認させるおそれのある治療前後の写真も制限されています。規制の範囲は医療広告ガイドラインの全体像の記事で整理しています

(出典:e-Gov法令検索「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正)p.11〜12/取得日:2026年10月10日)

私見では、「短期間で売上を○%上げる」と約束する提案ほど、中身がこの4つに当たらないかを確かめる必要があります。数字は早く動いても、返還や信頼低下として後から跳ね返ることがあるからです。

必要性の乏しい検査や投薬、売上目的の受診間隔の短縮、経済上の利益による誘引、費用を強調した広告、体験談の広告は、療養担当規則や医療広告ガイドラインに反するおそれがあるため、売上アップ策として採りません。

高梨メソッド原則から見た売上設計

高梨メソッドの売上設計は、売上を患者単価・来院頻度・リピート率の3変数で同時に見て、関連診療は患者本位の動線として設計し、自由診療は保険診療とのポートフォリオと価格の分かりやすさで判断する考え方です。5つの原則のうち、本記事と特に関わりが深いのは次の2原則です。

原則2-1:売上は3つの変数の掛け算で決まる

単価だけを追うと、患者さんは「必要のない検査を勧められている気がする」と感じて離れていくことがあります。頻度だけを追えば、医療の質を疑われやすくなります。リピート率は、接遇や予約の取りやすさ、スタッフの定着などの総合点として、結果に現れる変数です。

原則2-4:関連診療は患者本位の動線で設計する

主訴の背景にある健康課題のうち、自院で対応できる範囲を整理し、必要な患者さんに案内します。患者さんが複数の医療機関を回らずに済むための動線であり、押し売りとは違います。自由診療の組み込み方(原則2-2・2-5)は、「自由診療導入の判断基準と法的枠組み」の記事で整理しています。

📖 拙著で詳述

売上設計の5原則は、拙著『医療機関サステナブル経営の20年マップ 〜クリニックを20年続ける高梨メソッド〜』の第III部「売上設計の5原則」(第9章〜第13章)で、事例とあわせて詳しく解説しています。

高梨メソッドの売上設計では、3変数を同時に見て、関連診療は患者本位の動線として設計し、自由診療は保険診療とのポートフォリオと価格の分かりやすさで判断します。

自院だけで進まないときの支援会社の選び方

自院だけで売上の分解や改善が進まないときは、新患数だけでなく単価・来院頻度・継続の数字を分けて見立て、課題の変数に合わせた成果指標を契約前に示してくれる支援会社を選ぶのが判断の軸になります。担い手は、医療経営のコンサルティング会社、会計事務所の医業部門、医療事務・算定の専門家、予約やDXの提供事業者などです。原因が単価や継続にあるのに新患数だけを成果指標にする提案は、課題と打ち手がずれます。売上支援会社の比較はクリニック売上の支援会社おすすめ5選|患者単価とLTVで選ぶ売上UPパートナーの比較ガイドで、経営全体を見直したい場合はクリニック経営の支援会社の比較で整理しています。

担い手ごとの費用の決まり方と、成果指標や解約条件など契約前に書面で確認する点は、クリニックの経営コンサルティングとは|支援内容・費用の決まり方・契約前に確認する5つのことで整理しています。

売上アップの支援会社は、単価・来院頻度・継続を分けて見立て、課題の変数に合わせた成果指標を示せるかで選びます。

よくある質問

Q1. クリニックの売上アップの方法には何がありますか?

売上を患者数・来院頻度・診療単価に分け、落ちている変数に合わせて、単価(算定と届出の確認)、来院頻度(必要な受診が途切れない仕組み)、患者数(受け入れ枠と予約の入口)、診療メニュー(関連診療の案内と自由診療の順序)の4領域から打ち手を選びます。施策の数を増やすことではありません。

Q2. クリニックの売上が下がったときは何から確認すればよいですか?

保険診療と自由診療を分けた月次売上を、実患者数・来院回数・単価に分解し、新患と継続患者のどちらが減ったかを見ます。次に算定と届出の状況、最後に外部要因と院内要因の順に確認します。

Q3. 自由診療を始めなければクリニックの売上は増やせませんか?

自由診療は必須ではありません。保険診療でも、算定と届出の確認、継続受診が途切れない仕組み、受け入れ枠と予約の見直しで改善の余地があります。検討する場合は、保険診療とのバランスを見て、価格が分かりやすい領域から段階的に考えます。

Q4. 来院頻度を上げるために受診間隔を短くしてもよいですか?

売上を目的に受診間隔を短くすることは避けます。療養担当規則は検査や投薬を必要があると認められる場合に行うよう定めており、令和8年度改定では長期処方やリフィル処方に対応できる旨の掲示が一部の医学管理料の要件に加わりました。目指すのは、状態に合った間隔で必要な受診が途切れないことです。

Q5. クリニックの経営改善を外部に依頼するときの注意点は何ですか?

新患数だけでなく単価・来院頻度・継続を分けて見立ててくれるか、課題の変数に合わせた成果指標を契約前に書面で示してくれるかを確認します。短期間での大幅な売上増を約束する提案は、中身が避けるべき売上アップ策に当たっていないかを確かめます。

まとめ

クリニックの売上アップは、売上を患者数・来院頻度・診療単価に分け、落ちている変数を特定することから始まります。打ち手は単価・来院頻度・患者数・診療メニューの4領域に整理でき、診断の結果に合う領域から着手します。医療法人の一般診療所の損益率は下がっており、令和8年度改定のプラス分も賃上げと物価への対応が中心なので、改定頼みでは売上を立て直せません。過剰な検査や投薬、経済上の利益による誘引、費用を強調した広告は採らず、必要な医療を必要な患者さんに届けて取りこぼしと中断を防ぐことが、20年続くクリニックの売上設計につながります。

高梨 真奈美

高梨 真奈美(たかなし まなみ)

クリニック経営サポートLab編集長/医療機関経営アドバイザー

早稲田大学商学部卒業。医療経営支援20年超、クリニック支援300件以上の実務経験。「公認医療機関サステナブル経営アドバイザー」(働き方改革協会SDGS推進本部認定)として、クリニックを「20年続ける」経営戦略を発信中。著書『医療機関サステナブル経営の20年マップ 〜クリニックを20年続ける高梨メソッド〜』(Amazon Kindle)。

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