クリニックの集客方法|集患施策の全体像と、効果が落ちたときの見直し方

クリニック集客の方法|編集部の結論として集患施策の全体像と再来院までの設計を解説するインフォグラフィック

クリニックの集客方法は、検索・地図・SNSなどのWeb施策、看板や紹介などの地域施策、予約や次回案内などの院内施策の3系統を、自院が来てほしい患者層に合わせて組み合わせる取り組みです。施策の数より、「誰に届くか」と「2回目の来院につながるか」の設計で成果が決まります。

「ホームページもGoogleマップも整えたのに、新患が思うように増えない。むしろ最近は減ってきた気がする」

開業医の先生方から、私がいちばん多くいただくご相談がこれです。

クリニックの集客は、一般の店舗やサービス業の集客と同じ発想では組めません。医療法の広告規制があり、患者さんは必要なときにしか受診せず、初診の印象がそのまま再来院を左右するからです。打ち手を増やすほど成果が出る、という単純な構造にはなっていません。

本記事では、患者がクリニックを選ぶ行動の公開データと、厚生労働省の医療広告ガイドラインを根拠に、クリニックの集客方法の全体像を3系統に整理します。あわせて、集客の効果が落ちたときに何から確認すべきかの手順もまとめました。

高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

集客の相談を受けると、最初に「何をやれば増えますか」と聞かれます。お気持ちはよく分かります。ただ、私が支援してきた300件超のクリニックを振り返ると、集客がうまくいっている院ほど、施策の数は意外と少ないものです。代わりに「誰に来てほしいか」が院長とスタッフの間ではっきり共有されています。本記事では、手法の一覧よりも、その手法をどう選び、どう組み合わせるかに重心を置いてお伝えします。

この記事のサマリー

  • クリニックの集客方法は、Web施策・地域施策・院内施策の3系統に整理でき、自院が来てほしい患者層に合わせて配合比を決めることが出発点です
  • 民間の公開調査(2025年8月/有効回答600人)では、初めて行くクリニック探しの情報源として「Google検索・Googleマップ」が44.7%で最多、家族・友人・知人の口コミが37.7%で続きます
  • 厚生労働省の受療行動調査(令和5年、病院の外来患者が対象)では、不満の最多項目が「診察までの待ち時間」の25.5%で、来院後の体験が次の来院を左右することが読み取れます
  • 医療広告ガイドラインにより、バナー広告や検索連動型の広告は限定解除の対象外とされ、体験談の広告も認められません。一般業種の集客手法はそのまま使えません
  • 集客が落ちたときは、新患と再来のどちらが落ちたかを分けたうえで、流入経路別の数字、外部要因、院内要因の順に確認すると原因を絞り込めます

クリニックの集客(集患)とは

クリニックの集客とは、地域で医療を必要としている患者さんに自院を正しく知ってもらい、初診と再来院につなげるための取り組みです。医療の現場では「集患」という言葉もよく使われます。本記事では、自院を知ってもらう段階を「集客」、来院から継続受診までを含む全体設計を「集患」として扱います。

一般業種の集客と異なる3つの前提

クリニックの集客には、一般の店舗やサービス業とは異なる前提が3つあります。

  1. 広告に法律上の制限がある:医療機関の広告は医療法と医療広告ガイドラインで、広告できる事項や禁止される表現が細かく定められています
  2. 患者さんは必要なときにしか受診しない:割引やキャンペーンで来院を「作る」発想は、医療ではなじみません。症状や健康上の必要が生じたときに思い出してもらえるかが勝負です
  3. 初診の体験が再来院を決める:慢性疾患の管理や定期的な受診が必要な患者さんほど、1回目の体験で次も通うかを判断します

この3つを踏まえると、クリニックの集客は「認知を広げる施策」と「来院後に信頼を積み上げる施策」をセットで考える必要があります。

クリニックの集客は、広告規制・受診の必要性・初診体験という3つの前提のもとで、認知の獲得と再来院までを一体で設計する取り組みです。

患者はどうやってクリニックを選んでいるか

患者がクリニックを選ぶときの情報源は、Google検索・Googleマップが最多で、家族や知人の口コミ、病院検索サイト、公式ホームページが続きます。集客施策を選ぶ前に、患者側の選び方を公開データで確認しておきます。

初めて行くクリニック探しの情報源

民間の公開調査「病院・クリニック選定に関する調査レポート」(実施/全国の15歳以上の男女/有効回答600人)では、初めて行くクリニックを探すときの情報源として、Google検索・Googleマップが44.7%で最多でした。次いで家族・友人・知人の口コミが37.7%、病院検索サイトが35.0%、クリニック公式ホームページが34.3%です(出典:Gyro-n「病院・クリニック選定に関する調査レポート」/取得日:2026年10月4日)。

なお、この調査は年代ごとに100名ずつ回答を集めた設計のため、日本全体の人口構成をそのまま反映した数字ではありません。それでも、Web上の情報と身近な人の口コミが並んで上位にある点は、集客施策の組み立てに直結します。Webだけ、口コミだけ、のどちらかに偏った集客では、患者さんの探し方の半分を取りこぼすことになります。

同調査では、来院前にGoogleマップの口コミを確認する人が合計59.3%にのぼりました。口コミの見られ方と、医療広告規制のもとでのGoogleマップ運用の基本は、クリニックMEOとは|地域からの集患を生むGoogleビジネスプロフィール運用と医療広告規制の基本で詳しく整理しています。

来院後の体験が次の来院を左右する

厚生労働省の「令和5年受療行動調査(確定数)」では、外来患者が「不満」と答えた割合が最も高い項目は「診察までの待ち時間」で25.5%でした。一方、「医師による診療・治療内容」「医師との対話」「医師以外の病院スタッフの対応」に満足と答えた外来患者は約6割です(出典:厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況」/取得日:2026年10月4日)。

この調査は一般病院の患者が対象で、クリニックの患者をそのまま表す数字ではありません。ただ、待ち時間が不満の筆頭に挙がる構造は、外来診療に共通する傾向として参考になります。集客で新患を増やしても、待ち時間や受付の対応で不満を持たれれば、2回目の来院にはつながりません。

高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

実際の現場では、新患は増えているのに経営が楽にならない、というご相談がとても多いです。数字を見ると、初診から2回目の来院につながっていないケースがほとんどです。広告費を増やす前に、待ち時間の案内や次回予約の取り方を見直しただけで、来院数が持ち直したクリニックを私は何度も見てきました。集客の成果は、入口の施策だけでは決まりません。

患者はGoogle検索・Googleマップと身近な人の口コミを並行して使ってクリニックを選び、来院後は待ち時間などの体験をもとに再来院を判断します。

クリニックの集客方法の全体像

クリニックの集客方法は、Web施策・地域施策・院内施策の3系統に分けると全体像がつかみやすくなります。それぞれ届きやすい患者層と、医療広告規制上の注意点が異なります。

Web施策:検索・地図・広告・SNS

  • 公式ホームページと検索対策:診療内容、診療時間、アクセス、初診の流れを正確に載せる、集客の土台です。患者さんが自ら探して見る情報なので、自由診療の費用やリスクなどを適切に示せば、より詳しい情報を掲載できる「限定解除」の対象になり得ます
  • Googleマップ(MEO):「地域名+診療科」で探す患者さんとの最初の接点です。基本情報の正確性と口コミへの誠実な返信が中心になります
  • 検索連動型広告・バナー広告:短期間で認知を広げやすい一方、医療広告ガイドラインでは、バナー広告や検索結果にスポンサーとして表示される広告は限定解除の要件を満たさないと明記されています(出典:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正)/取得日:2026年10月4日)。広告に書けるのは、法令で認められた広告可能事項の範囲に限られます
  • SNS運用:子育て世代や若年層に届きやすい施策です。医療機関自身が発信する以上、誘引性があれば広告規制の対象になる前提で運用します
  • 病院検索サイト・予約サイト:診療科や地域から比較して探す患者さんの入口になります。掲載情報と公式ホームページの内容に食い違いがないかの管理が欠かせません

地域施策:看板・紹介・地域連携

  • 看板・院外表示:通勤・通学や買い物の動線上で、日常的に自院を思い出してもらう施策です。私の支援経験では、高齢の患者さんほどWebよりこうした接点から来院されるケースが目立ちます
  • 紹介・病診連携:近隣の病院、他科のクリニック、薬局、介護関連施設からの紹介です。紹介元との信頼関係が前提になる経路なので、日頃の診療情報のやり取りそのものが集客の資産になります
  • 地域活動:健康講座や地域の広報誌への協力など、医療機関としての存在感を地域に置く取り組みです

院内施策:予約・待ち時間・次回案内

  • 予約と待ち時間の見える化:受療行動調査で不満の最多項目だった待ち時間に直接効く施策です
  • 次回受診の案内:診療後にどのタイミングで来てほしいかを、担当者による差なく伝える仕組みです
  • 受付・電話の対応品質:先ほどの民間調査では、口コミを理由に来院をやめた人の理由として、医師の対応や説明に関する悪評(39.1%)に次いで、受付やスタッフの対応に関する悪評(15.4%)が挙がっています。院内の接遇は、そのまま集客の評価につながります

体験談・ビフォーアフターは使えない

一般業種の集客で定番の「お客様の声」は、医療機関では使えません。医療広告ガイドラインは、患者の主観に基づく治療の内容や効果に関する体験談を、誘引を目的に紹介することを認めていません。また、患者を誤認させるおそれのある治療前後の写真も禁止されています(詳細な治療内容・費用・リスク等の説明を付した場合を除く)。規制の全体像は、医療広告ガイドラインとは|2026年改正で押さえるべき広告規制とウェブ運用で整理しています。

クリニックの集客方法は、Web施策・地域施策・院内施策の3系統で整理でき、どの系統も医療広告規制の範囲内で組み立てる必要があります。

集客が落ちたときの見直し手順

集客が落ちたときは、いきなり施策を足すのではなく、どこで患者さんが減っているのかを順番に切り分けることが先決です。私が支援の現場で使っている確認の順序は、次の5段階です。

  1. 新患と再来のどちらが減ったかを分ける:月ごとの初診数と再診数を並べます。新患が減っているなら入口の問題、再来が減っているなら院内体験の問題である可能性が高くなります
  2. 流入経路ごとの数字を確認する:Googleビジネスプロフィールの表示回数・経路検索・電話の件数、ホームページの訪問数、紹介状の件数、初診時の問診での「何で知ったか」の回答を経路別に見ます
  3. 外部要因を確認する:近隣での競合クリニックの開業、季節による疾患の増減、診療報酬改定、検索結果の表示の変化など、自院の外で起きた変化を洗い出します
  4. 院内要因を確認する:待ち時間の変化、電話のつながりやすさ、スタッフの入れ替わり、最近の口コミの内容を確認します
  5. 施策と患者層のずれを確認する:直近で始めた施策が、自院が来てほしい患者層に届いているかを確認します。来院数は維持していても、来てほしい層が減っている場合があります

この順序で確認すると、「広告を増やせば戻る」という思い込みから離れて、原因に合った手当てを選べるようになります。新患が減っていないのに再来が落ちている場合、広告費を増やしても経営は改善しません。再来や単価を含めて、売上全体のどこが落ちているかを確かめる手順は、クリニックの売上アップ方法|患者数・来院頻度・単価で原因を絞る経営改善の手順で解説しています。

集客が落ちたときは、新患と再来の切り分け、経路別の数字、外部要因、院内要因、施策と患者層のずれ、の順に確認すると原因を絞り込めます。

高梨メソッド原則から見た集患設計

高梨メソッドでは、集患設計を5つの原則で整理しています。本記事の内容と特に関わりが深いのは、次の3原則です。

原則1-1:量より「狙った層に届くか」

集客の評価軸は来院数の絶対量ではなく、自院が来てほしい患者層に届いているかどうかです。集客手段ごとに届く患者層は違います。新しい施策を入れるとき、予算を増やすとき、媒体を変えるときに、毎回「この施策は来てほしい層に届くか」を確認する習慣が、集客の質を変えます。

原則1-4:デジタルとアナログのハイブリッド設計

Web施策と地域施策は、対立する選択肢ではありません。小児科なら保護者世代向けのWeb施策の比率を高めに、慢性疾患の管理が中心の診療科なら高齢層に届く地域施策や連携の比率を高めに、というように、診療領域と患者層に応じて配合比を設計します。

原則1-5:リピート率設計まで一気通貫で組む

集客は来院で終わりではありません。新患の獲得にかけたコストは、再来院があって初めて回収できます。集客の担当と院内の担当が分かれていても、初診から再来院までを1つの設計として扱うことが大切です。患者1人あたりの生涯価値で投資を判断する考え方は、クリニックの患者LTVとは|計算式と運用方法を売上設計の中核指標として解説で詳しく扱っています。

📖 拙著で詳述

集患設計の5原則は、拙著『医療機関サステナブル経営の20年マップ 〜クリニックを20年続ける高梨メソッド〜』の第II部「集患設計の5原則」(第4章〜第8章)で、事例とあわせて詳しく解説しています。

高梨 真奈美

編集長コメント

高梨 真奈美

ここから先は私見ですが、集客が落ちて焦っているときほど、長期の契約や高額なパッケージを勧められても、その場で決めないでいただきたいと思います。原因の切り分けをしないまま施策を足すと、届けたい層とは違う患者さんが増えて、院内が疲れてしまうことがあります。まずは本記事の5段階で現状を確認し、外部の力を借りるとしても、短い期間で効果を測れる形から始めるのが安全です。

高梨メソッドの集患設計では、「狙った層に届くか」を評価軸に、デジタルとアナログの配合比を診療領域ごとに決め、初診から再来院までを一気通貫で設計します。

自院だけで回らないときの支援会社の選び方

自院だけで集客が回らないときは、集客施策の実行力だけでなく、医療広告規制への対応と、来院後の院内体験まで含めて提案できる支援会社を選ぶのが判断の軸になります。Googleマップや広告の運用だけを切り出して外注すると、ホームページ、SNS、地域連携、院内の予約導線との間で方針がばらばらになりがちです。自院の患者層を最初に聞いてくれるか、効果の測り方を契約前に示してくれるかも、見極めの材料になります。集客支援会社ごとの得意分野と目的別の選び方は、クリニック集客の支援会社おすすめ5選|目的別に選ぶ集患パートナーの比較ガイドで比較しています。

集客支援会社は、施策の実行力に加えて、医療広告規制への対応と院内体験まで含めた提案ができるかで選びます。

よくある質問

Q1. クリニックの集客方法には何がありますか?

クリニックの集客方法は、公式ホームページ・Googleマップ・広告・SNSなどのWeb施策、看板・紹介・地域連携などの地域施策、予約・待ち時間・次回案内などの院内施策の3系統に整理できます。自院が来てほしい患者層に合わせて、3系統の配合比を決めることが出発点です。

Q2. 集客と集患は何が違いますか?

両者は同じ意味で使われることもありますが、本サイトでは、自院を知ってもらい初診につなげる段階を集客、来院から継続受診までを含む全体の設計を集患として使い分けています。医療では1回の来院で終わらない患者さんが多いため、集客だけでなく集患として設計することが大切です。

Q3. クリニックの集客が急に落ちたときは何から確認すべきですか?

まず月ごとの初診数と再診数を分けて、新患と再来のどちらが減ったかを確認します。そのうえで、流入経路ごとの数字、競合の開業や季節要因などの外部要因、待ち時間や電話対応などの院内要因、施策と患者層のずれ、の順に確認すると原因を絞り込めます。

Q4. クリニックで患者さんの体験談を集客に使ってもよいですか?

医療広告ガイドラインでは、患者の主観に基づく治療の内容や効果に関する体験談を、誘引を目的に広告することは認められていません。患者さんが自発的に第三者の口コミサイトや個人のSNSに書いたものは、医療機関が費用負担などで掲載を依頼していなければ広告に当たりませんが、医療機関側が投稿を依頼すると広告に該当するおそれがあります。

Q5. クリニックの集客を外部の会社に任せてもよいですか?

任せること自体は有効な選択肢ですが、施策の実行だけでなく、医療広告規制への対応と院内体験まで含めて提案できる会社を選ぶことが大切です。契約前に自院の患者層を確認してくれるか、効果の測り方を示してくれるかを確かめ、最初は短い期間で成果を測れる形から始めると判断を誤りにくくなります。

まとめ

クリニックの集客方法は、Web施策・地域施策・院内施策の3系統を、自院が来てほしい患者層に合わせて組み合わせる取り組みです。患者はGoogle検索・Googleマップと身近な人の口コミを並行して使ってクリニックを選び、来院後は待ち時間などの体験をもとに次の受診を判断します。医療広告規制のもとでは一般業種の集客手法をそのまま使えないため、正確な情報発信と院内体験の積み上げが集客の土台になります。集客が落ちたときは、施策を足す前に、新患と再来のどちらが減ったのかから順に原因を切り分けることが、20年続くクリニックの集患設計につながります。

高梨 真奈美

高梨 真奈美(たかなし まなみ)

クリニック経営サポートLab編集長/医療機関経営アドバイザー

早稲田大学商学部卒業。医療経営支援20年超、クリニック支援300件以上の実務経験。「公認医療機関サステナブル経営アドバイザー」(働き方改革協会SDGS推進本部認定)として、クリニックを「20年続ける」経営戦略を発信中。著書『医療機関サステナブル経営の20年マップ 〜クリニックを20年続ける高梨メソッド〜』(Amazon Kindle)。

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