クリニックの業務効率化とは、受付・電話・問診・会計・レセプトなどの業務を書き出して時間のかかり方を把握し、手順の見直し、職種間の役割分担、ICTツールの順に打ち手を組み合わせて、医師とスタッフが患者に向き合う時間を増やす取り組みです。導入前後に同じ条件で業務時間を測り、続けるかどうかを判断します。
「受付の電話が鳴りやまず、会計待ちの列もできる。何かツールを入れたいけれど、どこから手をつければよいのか分からない」
業務効率化のご相談で、私がいちばん多く耳にする入口です。ツールの営業は受けていても、自院に必要かを判断する物差しがない状態です。
業務効率化は、ツールを入れる前に、業務の流れと役割分担を組み直す話です。ツールを先に決めると、旧来の業務の上に新しい操作が乗り、かえって手間が増えることがあります。
本記事では、から医療法上の努力義務となる業務効率化の背景を公的データで確認し、棚卸しから効果測定までの進め方を整理します。
この記事のサマリー
- クリニックの業務効率化は、業務の棚卸し、手順・役割分担・ツールの順での打ち手の仕分け、1業務で小さく試す導入、導入前後の効果測定の4段階で進めます
- 2026年6月5日公布の健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)により、病院・診療所の管理者が業務の効率化に資する措置を講ずるよう努めることが医療法に明記され、2027年4月1日に施行されます
- 第25回医療経済実態調査では、一般診療所(医療法人)の給与費は医業・介護収益の50.9%(令和6年度)を占めます。令和5→6年度で、医業収益は2.1%減り、給与費は3.2%増えました
- 令和5年受療行動調査(病院の外来患者が対象)では、外来の不満で最も多いのは「診察までの待ち時間」の25.5%です。受付から会計までの流れは患者体験に直結します
- 効果は、導入前後に同じ条件で業務時間を測って確かめます。国の病院向け補助事業では、導入前と導入6か月後・1年後のそれぞれ連続5日間で計測する例が示されています
目次
クリニックの業務効率化とは
クリニックの業務効率化とは、業務の流れと職種間の役割分担を見直し、必要な業務にICTツールを組み合わせて、医師とスタッフが患者に向き合う時間を増やす取り組みです。進め方は、業務の棚卸し、打ち手の仕分け、小さく試す導入、導入前後の効果測定の4段階に整理できます。
業務改善・医療DXとの違い
近い言葉に「業務改善」と「医療DX」があります。本記事では次のように使い分けます。
- 業務改善:予約枠の組み方や問診票の項目など、手順やルールの見直しです。ツールを使わないものも含みます
- 医療DX:オンライン資格確認や電子処方箋などの国の基盤と、院内システムのデジタル化です
- 業務効率化:両者を手段として使い、院内の時間の使い方を変える取り組みです
医療DXの政策スケジュールは、医療DX推進工程表の解説|クリニック経営者が押さえるべき政策動向で整理しています。
目的は人員削減ではなく「時間の使い方」を変えること
業務効率化の目的は、スタッフの人数を減らすことではありません。転記や折り返し電話、書類作成の時間を減らし、その分を患者さんへの説明や医師の判断に振り向けることです。浮いた時間の使い道は、高梨メソッドの章で扱います。
業務効率化は、業務の流れ・役割分担・ツールを組み合わせて、医師とスタッフが患者に向き合う時間を増やす取り組みです。
公的データで見る、業務効率化が求められる背景
クリニックの業務効率化が求められる背景は、給与費の増加と収益の伸び悩みという経営面の圧力、待ち時間への不満という患者体験面の課題、2027年4月から医療法上の努力義務として明確化される制度面の変化の3つです。
2027年4月から、業務効率化が医療法上の努力義務に
健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)がに成立し、に公布されました(出典:衆議院「議案審議経過情報(健康保険法等の一部を改正する法律案)」/取得日:2026年10月10日)。
病院または診療所の管理者は「良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、業務の効率化に資する措置を講ずるよう努めなければならない」ことが医療法に新たに明記されます(法律案要綱では第30条の19関係)。施行はです(出典:厚生労働省「健康保険法等の一部を改正する法律案要綱」/取得日:2026年10月10日)。
あわせて、都道府県の事務に業務効率化の相談・助言が加わり、健康保険法上も保険医療機関の責務として業務効率化に努める旨が明確化されます(出典:厚生労働省「第126回社会保障審議会医療部会 資料4」(2026年3月26日)/取得日:2026年10月10日)。
努力義務であり、罰則はありません。対象は「病院又は診療所の管理者」なので、無床のクリニックも含まれます。
給与費は増え、収益は伸び悩んでいる
「第25回医療経済実態調査」では、一般診療所(医療法人)全体(有床を含む)の給与費は、院長など役員の報酬を含めて医業・介護収益の50.9%(令和6年度)です。令和5→6年度で医業収益は2.1%減り、給与費は3.2%増えました。損益率(平均値)は8.3%から4.8%に、無床診療所(医療法人)では9.3%から5.4%に下がっています(出典:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査の概要(令和7年11月26日版)」/取得日:2026年10月10日)。
院長の報酬を含めるかどうかで人件費率がどう変わるか、自院の数字をどう比べるかはクリニックの人件費率の目安は?院長報酬など数字が違う4つの理由と自院の比べ方で解説しています。
財務指標の読み方は、クリニックの損益分岐点とは?計算方法・1日の必要患者数と利益率など財務指標の公的データで詳しく扱っています。
患者の不満は「待ち時間」に集まる
「令和5年受療行動調査(確定数)」では、外来患者の「不満」で最も多い項目が「診察までの待ち時間」の25.5%でした(平成29年は26.6%、令和2年は24.1%)(出典:厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況」/取得日:2026年10月10日)。一般病院の外来患者の数値で、クリニックのものではない点に注意が必要です。
編集長コメント
高梨 真奈美
実際の支援現場では、経営の数字と現場の負担は同じ根から来ていることがほとんどです。棚卸しをすると、電話の折り返し、紙の問診票の転記、領収書の再発行など、院長先生が把握していない「見えない業務」が必ず出てきます。院長先生の感覚と、実際に時間を使っている場所はずれているものです。
業務効率化は、経営の圧力、患者体験の課題、医療法上の努力義務という3つの方向から求められています。
業務効率化の進め方:棚卸しから効果測定までの4段階
クリニックの業務効率化の進め方は、業務の棚卸し、手順・役割分担・ツールの順での打ち手の仕分け、1業務・短期間での試行と旧業務の廃止、導入前後の効果測定の4段階です。ツールの選定は、打ち手の仕分けの最後に位置づけられます。
① 業務の棚卸し:誰が、いつ、何に、どれだけ時間を使っているか
対象は、受付・予約、電話対応、問診、診療記録・書類作成、会計・精算、レセプト・請求、在庫・発注などの事務、スタッフ間の情報共有の8業務です。業務ごとに次の項目を書き出します。
業務の棚卸しで書き出す項目
| 書き出す項目 | 記入例(受付・予約) |
|---|---|
| 担当者 | 受付2名 |
| 発生する時間帯 | 開院直後、昼休み明け |
| 1日の件数 | 再来受付○件、予約変更○件 |
| 1件あたりの時間 | ○分 |
| 二重入力・転記の有無 | 予約表から電子カルテへの手入力 |
| 患者を待たせているか | 開院直後に受付の列ができる |
件数と時間は、実際に数えた値を書きます。期間は、曜日による繁閑の差が分かるよう、1週間通して記録します。1件に時間がかかる業務、二重入力のある業務、患者さんを待たせている業務が、打ち手の候補です。
編集長コメント
高梨 真奈美
書き出すのは院長先生ではなく、その業務を担うスタッフご本人です。始める前に「誰が遅いかを探すのではなく、仕事の重なりを減らすための作業です」と伝えてください。目的が伝わらないと、スタッフは評価を気にして時間を少なめに書きます。棚卸しを犯人探しにすると、数字そのものが信用できなくなります。
② 打ち手を「手順→役割分担→ツール」の順に仕分ける
書き出した業務ごとに、次の順で打ち手を検討します。
- 手順・ルールの見直し:電話でよく答えている診療時間や持ち物の案内をWebに載せる、などです
- 役割分担の見直し:医師から看護師や医師事務作業補助者へ業務を移したり分け合ったりします(タスク・シフト/シェア)
- ツールの導入:それでも残る作業にICTツールを当てます
ツールから考えないのは、先に入れると紙や口頭の確認が残ったまま、新しい操作が上乗せされやすいためです。高梨メソッドの原則3-2「業務フローの見直し→ツール選定の順序」(拙著第15章)の考え方で、業務別の打ち手は次章で整理します。
③ 1業務・短期間で試し、置き換える旧業務を廃止する
打ち手が決まったら、まず1つの業務で試します。
- 目的と指標を決める:「誰の、どの業務の、何分を、何に振り向けるか」まで言葉にします
- 現場と合意する:使うスタッフが決定に加わります
- 1業務・短期間で試す:うまくいかなければ戻せる範囲で始めます
- 置き換える旧業務を廃止する:紙と新しい仕組みの二重運用を残しません
- 定着を確かめてから次の業務へ広げる
ツールを試す前には、安全管理も確認します。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」はに第7.0版になりました(出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)」/取得日:2026年10月10日)。二要素認証は職員が操作する端末(パソコン等)とサーバで対応することが明確化され、2027年4月1日時点で難しい場合は次期システム改修での対応が認められます。
小規模医療機関を想定した「保守委託機関編」も新設され、全サーバのセキュリティアップデートを委託している医療機関は、この編を守ればほかの編も守れているとみなされます(出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版の策定について」(産情発0629第1号)/取得日:2026年10月10日)。契約前にはベンダーの第7.0版への対応状況を確認し、ほかの業務へ広げる前には投資の回収期間も確かめましょう。
編集長コメント
高梨 真奈美
私見では、最初に試す1業務は「毎日発生し、件数が多く、患者さんを待たせている業務」から選ぶのがおすすめです。効果が数字に表れやすく、スタッフの納得も得やすいからです。いきなり全業務の見直しから入ると、現場が疲れて止まりやすくなります。
④ 導入前後で、同じ条件で効果を測る
効果は、導入前後に同じ条件で業務時間を測って確かめます。厚生労働省の「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」のデータ提出項目例では、導入したICT機器等に関わる業務時間を、導入前の連続5日間と、導入6か月後・1年後のそれぞれ連続5日間で計測する例が示されています(出典:厚生労働省「補助対象決定後のデータ提出項目例」/取得日:2026年10月10日)。
この事業は病院が対象で、補助上限は8,000万円です(出典:厚生労働省「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業について」/取得日:2026年10月10日)。クリニックは対象外で項目も変更の可能性がある例示のため、本記事では「測り方の型」として紹介します。
業務効率化の効果を測る4区分
| 区分 | 指標の例 | データ提出項目例との対応 |
|---|---|---|
| 時間 | 対象業務の時間 関係職員の総労働時間・超過勤務時間 |
「効率化・負担軽減」 |
| 安全 | 記載誤り・データ誤入力の件数 会計の違算の件数 |
「医療安全の確保」 違算は本記事で追加 |
| 経営 | 超過勤務手当、委託費 ツールの月額費用 |
「経営状況」 ツールの月額は本記事で追加 |
| 患者体験 | 待ち時間、電話のつながりやすさ 問い合わせの件数 |
資料にはない区分 クリニック向けに本記事で追加 |
浮いた時間を何に振り向けたかも記録します(原則3-1、後述)。
業務効率化は、棚卸し、打ち手の仕分け、小さく試す導入、同じ条件での効果測定の順に進め、旧業務の廃止と安全管理の確認をセットにします。
業務別の効率化・改善の方法
業務別の効率化の方法は、受付・予約、電話対応、問診、診療記録・書類作成、会計・精算、レセプト・事務の6業務ごとに、手順の見直し、役割分担、ツールの3つから組み合わせを選ぶ形で整理できます。患者の不安に応える接点を人に残すかどうかが、業務ごとの設計の分かれ目になります。
業務別の打ち手の一覧
| 業務 | 手順の見直し | 役割分担 | ツール |
|---|---|---|---|
| 受付・予約 | 予約方式(時間予約・ 順番予約)の見直し |
再来受付の案内係 | Web予約、待ち状況の表示 再来受付機 |
| 電話対応 | よくある質問をWebに掲載 | 折り返しの担当者と 時間帯を決める |
自動音声応答、AI電話 |
| 問診 | 問診票の項目整理 | 看護師による 診察前の問診 |
Web問診・タブレット問診 |
| 診療記録・書類作成 | 定型文書のひな形化 | 医師事務作業補助者による 代行入力・下書き |
音声入力、文書作成支援 |
| 会計・精算 | 会計の締め時刻・ 点検手順の統一 |
会計と案内の分担 | 自動精算機 キャッシュレス決済 |
| レセプト・事務 | 日次点検で 月末集中をならす |
委託範囲の見直し | システム間連携で 転記をなくす |
受付・予約:待ち時間を「短く」する前に「読める」ようにする
まず時間予約と順番予約のどちらが自院に合うかを見直します。待ち時間を短くできなくても、待ち状況を表示すれば、患者さんは「あとどれくらいか」の見通しを持てるため、受付への問い合わせも減らしやすくなります。再来受付を仕組み化し、受付スタッフは初診の方や不安のある方に時間を使います。
受療行動調査では、外来患者の79.4%が「予約をした」と答えています(一般病院の外来患者の数値)(出典:厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況」/取得日:2026年10月10日)。予約と予約変更の受け方の整備が、受付業務改善の中心です。オンライン資格確認でエラーが出たときの手順も決めておきます。制度の現状は、オンライン資格確認と電子処方箋の現状|クリニックが押さえるべき基幹インフラで解説しています。
電話対応:1週間の記録から「任せる電話」と「人が受ける電話」を分ける
電話対応の見直しは、記録から始めます。
- 1週間、電話を記録する:用件・時間帯・所要時間を、受けたスタッフがその場で書き留めます
- 用件を4つに分ける:Webの案内で完結するもの(診療時間・休診日・持ち物)、自動応答でよい定型のもの(予約の確認・変更)、折り返しでよいもの(書類の受け取り・請求の問い合わせ)、その場で人が受けるもの(症状の相談・急ぎの連絡)に分類します
- Webの案内と自動応答で済む用件から任せる:最後の「その場で人が受けるもの」は、受付の負担が減った分だけ丁寧に対応します
問診:紙の問診票の転記をなくす
紙の問診票の書き写しは「見えない業務」の代表です。Web問診やタブレット問診で事前に入力してもらえば、転記の手間と誤りを減らせます。導入前には、入力内容を電子カルテに取り込めるかを必ず確認します。
役割分担では、厚生労働省の「タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 議論の整理」が、看護師による診療前の問診や、医師事務作業補助者による診察前の予診を、特に推進する業務として例示しています(出典:厚生労働省「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 議論の整理」(令和2年12月23日)/取得日:2026年10月10日)。診療効率化の目標は、診察の前に必要な情報がそろっている状態をつくることです。
診療記録・書類作成:医師の時間を書類から取り戻す
同じ資料は、医師事務作業補助者による診療録の代行入力や、診断書・主治医意見書などの書類の下書き・仮作成も例示しています。改正法の関連資料も、業務のDX化の取組例に音声入力や生成AIによる文書作成支援を挙げています。下書きまでを人や仕組みに任せれば、医師は確認と最終判断に集中できます。医師の働き方改革とタスクシフトの制度面は、医師の働き方改革2024|時間外労働の上限規制とクリニック経営への影響を解説で整理しています。
会計・精算:違算と待ち列を減らす
自動精算機やキャッシュレス決済で、待ち列と違算を減らせます。電子カルテやレセプトコンピュータとの連携を確認し、金額の手入力を残さないようにします。操作に慣れない高齢の患者さんへの声かけは、人の役割として残します。
レセプト・事務:転記と月末集中をならす
レセプト業務は月末から月初に集中しがちです。日々の点検で月末の負担をならし、システム間の転記をなくし、委託範囲も棚卸しの結果をもとに見直します。
業務別の打ち手は、手順、役割分担、ツールの順に検討し、患者の不安に応える接点は人が担う形で組み合わせます。
高梨メソッド原則から見た効率化設計
高梨メソッドの効率化設計は、業務効率化の目的を人の判断時間を増やすことに置き、自動化する業務と人が担う接点を切り分け、浮いた時間を看護師・受付の役割の再設計につなげる考え方です。
ここでは本記事と特に関わりが深い3原則を取り上げます(原則3-2は進め方の章で扱いました)。
原則3-1:AIで人を置き換えず「人の判断時間」を増やす
人員削減を前提にした効率化は、スタッフの間に「次は自分の番では」という不安を生みます。離職が続けば、採用と教育のコストが効率化の効果を上回ることもあります。浮いた時間の使い道を先に決め、スタッフに伝えてから始めます(拙著第14章)。
原則3-4:自動化と人間味のバランスを設計する
予約管理、問診の事前入力、会計、レセプトなどの事務処理は自動化し、受付での声かけ、待合での状況確認、診療後のフォローといった患者さんとの接点は人が担います(拙著第17章)。
拙著では、受付を完全に無人化して高齢の患者さんの不満が続き、予約済みの方は無人受付、初診や高齢の方にはスタッフが対応する形に改めたケースを紹介しています。
原則4-3:看護師・受付の役割を再設計する
効率化で浮いた受付の時間は、問診の前段階での患者対応など、新しい役割に振り向けます。役割を広げるなら、給与や評価もあわせて見直します(拙著第21章)。タスクシフトは、研修と段階的な権限付与が前提です(原則4-2、拙著第20章)。
📖 拙著で詳述
効率化設計の5原則は、拙著『医療機関サステナブル経営の20年マップ 〜クリニックを20年続ける高梨メソッド〜』の第IV部「効率化設計の5原則」(第14章〜第18章)で、看護師・受付の役割の再設計は第21章で、事例とあわせて詳しく解説しています。
高梨メソッドの効率化設計は、判断時間を増やす目的、自動化と人の接点の切り分け、役割の再設計を軸に、浮いた時間を患者と医療の質に振り向けます。
自院だけで進まないときの支援の選び方
自院だけで業務効率化が進まないときは、ツールの機能の多さより、業務の棚卸しから定着まで伴走できるか、既存システムとデータ連携できるか、効果の測り方を契約前に示せるかが、支援の担い手を選ぶ判断の軸になります。
支援の担い手は、次の3種類に分けられます。
- 業務システム・ツールの提供会社:自社ツールの導入を支援します。業務の見直しや定着までの支援範囲は会社ごとに差があります
- クリニックの経営支援・コンサルティング会社:棚卸しから定着までを伴走します。特定のツールに縛られずに打ち手を選べるかが確認点です。費用の決まり方と契約前の確認点はクリニックの経営コンサルティングとはで整理しています
- 都道府県の医療勤務環境改善支援センター:労務管理などを支援する公的な相談窓口です。改正法の施行後は、業務効率化の助言も役割として明確化されます
どの担い手でも、棚卸しの結果を見せたうえで、何をどの順に変え、効果を何で測るのかを具体的に説明してもらえるかを確かめてください。業務効率化サービスの特徴と選び方は、クリニック業務効率化サービスおすすめ5選|DX比較で人の判断時間を増やすで比較しています。
支援の担い手は、棚卸しから定着までの伴走力、データ連携、効果の測り方の提示を軸に選びます。
よくある質問
Q1. クリニックの業務効率化とは何ですか?
受付・電話・問診・診療記録・会計・レセプトなどの業務を書き出し、手順の見直し、職種間の役割分担、ICTツールの順に打ち手を組み合わせて、医師とスタッフが患者に向き合う時間を増やす取り組みです。目的は人を減らすことではなく、時間の使い方を変えることです。
Q2. クリニックの業務効率化は何から始めればよいですか?
業務の棚卸しから始めます。業務ごとの担当者・件数・1件あたりの時間を、担当スタッフ本人が1週間ほど書き出します。そのうえで手順の見直し、役割分担、ツールの順に解決策を仕分け、ツール選びは最後に行います。
Q3. クリニックの受付業務を改善・効率化するにはどうすればよいですか?
予約方式の見直しと待ち状況の表示で受付の集中をならし、電話は1週間記録して用件を分け、Webの案内や自動応答で済む用件から任せます。紙の問診票はWeb問診などで事前入力にして転記をなくします。受付での声かけなど、患者さんとの最初の接点は人に残します。
Q4. 業務効率化の効果はどう測ればよいですか?
導入前と導入後に、同じ条件で対象業務の時間を測ります。あわせて、残業時間、入力ミスなどの件数、患者さんの待ち時間、費用を比べます。国の病院向け補助事業では、導入前と導入6か月後・1年後のそれぞれ連続5日間で業務時間を計測する例が示されています。
Q5. クリニックの業務効率化は法律で求められているのですか?
2026年6月公布の改正法により、病院・診療所の管理者が業務の効率化に資する措置を講ずるよう努めることが医療法に明記され、2027年4月1日に施行されます。努力義務で罰則はなく、取り組み方は各医療機関が自院の状況に合わせて決めます。
まとめ
クリニックの業務効率化は、業務の流れと役割分担を見直し、必要な業務にICTツールを組み合わせて、医師とスタッフが患者に向き合う時間を増やす取り組みです。給与費の増加、待ち時間への不満に加え、2027年4月からは医療法上の努力義務として明確化されます。進め方は、業務の棚卸し、打ち手の仕分け、1業務で小さく試す導入、導入前後の効果測定の4段階です。人を減らすのではなく時間の使い方を変えるという軸を保つことが、20年続くクリニックの効率化設計につながります。












編集長コメント
高梨 真奈美
「何を入れれば楽になりますか」と聞かれるお気持ちは、よく分かります。ただ、私が支援してきた300件以上のクリニックを振り返ると、うまくいく院ほど最初にツールを決めていません。まず1週間、誰が何に時間を使っているかを書き出すところから始めてください。